〈最近の主な活動〉
 一九五三年に岐阜県高等学校演劇連盟として誕生した演劇部会はその後岐阜県高等学校文化連盟に所属し、二〇〇三年に五〇周年を迎えました。その時は県下全域から希望者を募って集まった演劇部員で全県交流公演を実施しました。初めて顔を合わせた者たちが、たった四ヶ月程で気心を通じ合わせ、一本のお芝居を創り上げていく過程に接して、改めて演劇が持つ力に感動を覚えました。
 一年間の主な活動として、五月に顧問総会を行います。その前後にアマチュア演劇教室を開催し、全国大会や中部日本大会に出場する高校生の舞台を鑑賞したり、地元の劇団の舞台を鑑賞して技術講習を受けたりしています。六月には各地区で照明講習会などが行われ、七月下旬に各地区大会、八月上旬に県大会を実施し、中部日本大会に出場する三校を決定します。十一月には県総合文化祭の一環として各地区ごとに発表会を行います。十二月末の中部日本大会を経て、三月には春季合同公演を実施し、既存の地区を越えた学校が集まり、一年間の集大成の発表会を開いています。

〈生徒実行委員会について〉
 岐阜県の高校演劇の最大の特徴は、生徒実行委員会の活動にあります。他県でも何らかの形で生徒が大会運営に携わっているとは思いますが、岐阜県では受付・接待などの表に出る部分だけではなく、照明や音響の仕込みから装置の搬出入・舞台進行に至るまで、すべて生徒たちが自らの手で行っています。それぞれのパートには担当顧問がついて指導・監督はしていますが、あくまで主体は生徒たちです。そこには様々な困難も伴います。毎年新しくなっていく生徒たちに対して、技術的な内容や考え方を教えたり、生徒同士の意志疎通を図るために大会までに何度も顔合わせを行い入念な打ち合わせを行います。経験不足の生徒が行うことですので、思いがけないハプニングが生じることも多々あり、それに対処するために、顧問の先生方は四苦八苦しています。それでも我々がこのやり方を続けているのは、その苦労以上に得るものが大きいと感じているからです。ひとつの大会をやりきった後の生徒たちの顔には、充実感と満足感があふれています。生徒講評委員会もこの一環として、文字通り生徒主体で行っています。「同世代の代表として芝居を見て感じたものを素直に表現する」というのは口で言うほど簡単なものではありませんが、納得のいくまで議論し必死に講評文を書いている姿には頭が下がる思いです。
 来年の十二月には中部日本大会が岐阜県で開催されますが、現在そのための生徒実行委員会の組織作りが始まっています。この規模の大会運営には一〇〇名を超す生徒が係わることになり、それぞれのパートの代表生徒は今年の富山県での大会視察を含めて、二年かけて育てていくことになります。気の遠くなるような膨大な時間と手間がかかりますが、彼等の成長した姿を楽しみにしながら、気長に関わっていこうと思います。

〈今後の課題〉
 岐阜県でも近年高校の統廃合が盛んに行われ、この三年ほどで学校数が十校以上減ります。当然演劇部を持つ学校同士の統合もあり、参加校数・登録部員数が毎年減少してきています。それに伴って予算面でもかなりの緊縮財政を強いられてきています。その中で我々は、これほど教育的で人間的に大きく成長できる活動は他にはないということを再認識し、強くアピールする方法を模索して、いつまでも生徒とともに歩んでいきたいと願っています。
(岐阜県高文連演劇部会専門部長)