| ■ 第55回 三重大会によせて |
永嶋 達夫
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本年の第五十五回全国高等学校演劇協議会全国大会は、第三十三回高校総合文化祭の主催県である三重県において、ここ四日市市文化会館を会場に七月三十一日、八月一・二日の三日間にわたり開催される。 すでに昨年度中に各ブロック大会を経て全国より十二校の出場である。一昨年よりの一校増は今回は関東(北)である。出場校におかれては四月以来、多かれ少なかれ新年度の活動としての第一歩として新たな意気込みをもってこの大会を迎えるわけである。 年々これ新たなりのとおり、その年でなければという創造的な舞台の展開が強く期待されるところである。全国二千数百校に及ぶ高校演劇のまさに頂点ともいうべきこの全国大会は出場校はもとより、そこに集う多くの学校、そして観客の方々と共に作り出していくものであり、そこでの感動を相互に共有しながらさらなる発展へのエネルギーとなっていくものである。ぜひ今年も記憶に残る大会でありたいと強く願っている。 さて、一方で春の全国大会も、この三月にはすでに第三回が実施されたところである。こちらは年度内開催という条件の下で各地区大会よりの一貫したメンバーによる最終の舞台である。夏と同じく各ブロック大会を経ての同時推薦という流れで、各ブロックより一校の九校出場である。何よりも全国レベルでの出場の機会が増えたことが最大の特典であり、全国の各学校に及ぼす夢は大きなものがあるようである。演劇専門の「自由劇場」という施設を提供してくださる劇団四季に感謝をいたすと共にこの機会と条件をさらに生かしていくことも大事な課題である。 また、夏の大会終了後、審査員推薦四校の八月末の国立劇場優秀校東京公演も、本年で第二十回を迎えている。いくたの課題はあるものの、何よりも高校生のすばらしい活動をより多くの人々に観てもらいたいとする当初の主旨には変わりなく、日本音楽と郷土芸能の二部門と提携をしての意義は広く知られるに至っている。これらは、文化庁のバックアップを背景として、高文連との共催行事となっている。演劇活動には費用もかかるところから各地でご支援くださる企業等には感謝いたしたい。 |
次に高演協の抱える課題に若干触れたい。その一つが著作権にかかわる問題である。著作権法に抵触しないことが法規上の心得であるが、この法が著作者の権利を守ることが主旨であるところから、利用する側にとってはいささか不便を感じる場合があるのは止むを得ないことであろう。だからと言って適当に考えてよいものでは全くない。必ず著作権者の「許諾を得る」という手続きに遺漏があってはならない。授業に相当する教育の現場では許容されることも次第に発表の場が広がり、学校外の人たちも参加してくる段階で改めて許諾の事実を確認していくことが必要である。 そもそも創作の多くはすべてパロディーであるとする極端な考え方もあろうが、何よりも安易に借りてくる、手直しする、利用するなどの扱いが原作を下まわる場合最も留意すべき点である。喜ばれるような許諾でありたい。 次に、高校演劇の抱える課題は指導者の養成である。あらゆる部活動にも共通するのは、学校においては授業と同じく指導者の力量である。戦後からの大会も五十回を越え、指導者の交代もつとに進んできている。その意味で、若手の先生の中から演劇を志し意欲のある人たちを増やしていくことは組織としての重要な役割である。「活動報告集」の中に紹介されている各地区における合同研修会などは貴重な機会と思う。全国大会の名称に当初より「指導者講習会」を掲げているのも、舞台作りと一体となった重要な側面であることの表れである。生徒による「生徒講評委員会」の活動も定着してきている。ベテランの顧問の先生も初めは全くの素人からであったという話もよく耳にする。演劇の魅力を肌で感じて生徒と共に芝居作りに力を注ぐ同好の士を育てていきたいものである。 三重大会に話を戻して、何年も前より準備にご苦労いただいている開催県の皆様に厚くお礼を申しあげ盛会を祈ります。 (全国高等学校演劇協議会会長) |
| ■ 楽しく、熱く、深く |
河 原 孝
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| 美し国三重 この場所、この時に 情熱でつくりあげるわたしたちの舞台 第33回全国高校総合文化祭 第55回全国高等学校演劇大会に出場される全国代表校の皆さま、そして三重大会を鑑賞される皆さま、ようこそ四日市へ! 開催県を代表して心より歓迎とお礼を申しあげます。 「この素晴らしい演劇を、三重の高校生に見せてあげたい」 昨年、次期開催県として、群馬での全国大会を見た私の率直な気持ちです。高校生だけでなく大人にも親たちにもぜひ見ていただきたいと思いました。高校生が何にぶつかり、悩み、そして何に感動しているのか、百万の説明よりも、はるかに鮮やかにわかってもらえるような気がしました。生身の高校生たちが本気で発する言葉と、創り出す空間、流れる時間、これらのすべてを直に感じてほしい。演じる高校生と見る高校生がホールで共感し合うことができるならどんなに素晴らしいことでしょう。 地区大会から観賞していますと、各校の進化と生徒たちの成長を肌で感じることができます。なんとなく傍観者のように見えていた生徒が、次に会った時には別人のように眼をぎらぎらさせていたり、審査に漏れて人目もはばからず大泣きするのを見ると、自ら主体になって取り組むことによって高校生はこんなにも変貌するのかと驚きます。おそらく授業の中では決して見ることのできない姿と成長ではないでしょうか。 現在、三重県の各地で全国高校総合文化祭が開催されています。三重県は南北に長く、紀伊半島を境にして、北は伊勢湾を囲む地域と、南は黒潮洗う太平洋に面した地域とで大きく様子が変わります。変化に富む気候風土の中、古来より人々の往来がつくってきた歴史、文化、産業も大変多様な土地柄と言えるでしょう。 |
また、九州、四国から紀伊半島を通って関東まで続く中央構造線という大断層帯も三重の中程を通っていて、地形や地質もこれを境にして大きく変わります。今大会のタイトルに「美し国 三重」とあります。これは日本書紀に「伊勢国を常世の波が打ち寄せる美しい国」として記載されているところから来ており、「美し国」は三重の枕言葉として、全国に発信する際に用いられています。三重県といっても、日本のどこにあるのか判然としない方もおられると思います。しかし、伊勢神宮(ちなみに「神宮」とは伊勢神宮のことです)、松阪牛、鈴鹿サーキット、伊賀忍者、真珠、熊野古道など、三重よりもブランドになっている地域がたくさんあります。三重県はそんなところです。 演劇大会が開催される四日市はどうでしょう。人口約31万人の三重県北部の商工業の街です。70年代に公害で有名になってしまいましたが、実は水も空気も大変きれいなところです。全国有数の茶の生産地で、有名な酒造会社もあります。空気と水がきれいでなければ茶も酒も良いものはできません。会場周辺はとても便利です。時間がありましたらぜひ市内を回ってみてください。できれば県内の他の街にもお出かけください。きっと三重の良さがわかっていただけると思います。 三重の高校生たちは、「美し国三重 〜この場所、この時に情熱でつくりあげる私たちの舞台」のスローガンのもと、この大会を自ら輝く機会として大きな意気込みと期待を込めて取り組んできました。三重の教員たちも自らの指導力量を発揮する格別の機会として真剣に準備をしてきました。代表校の皆さまは持てる力のすべてを発揮して最高の舞台を創り出し、会場の皆さまは心ゆくまで楽しく、深くご鑑賞いただけるよう祈念して、歓迎のご挨拶といたします。 (第33回全国高等学校 |
| ■ うまし国三重にようこそ |
水野 知行
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| 第55回全国大会は、夏の盛りに三重県四日市市文化会館で開催されます。全国高校総合文化祭演劇部門としても、33回を数えることになりました。 33という数字は、三を重ねるという、三重県人好みの語呂合わせで、2009年の全国大会は三重に来るべくして来たのでしょう。ちなみに、戦中レイテで全滅し戦後もその部隊番号を引き継いでいる久居の連隊も33連隊で、これも何かの縁か、それとも何らかの意図が働いたのか知りませんが、覚えやすい数字ではあります。 さて、大会プログラムの表紙には、上に第55回が、下に第33回が書いてあります。上に第55回を書いているのは、こちらの方が年季が入っているのだぞという一種のプライドであり、自己主張だと言ってよいのかもしれません。 けれども、同時に第55回は第33回の上に乗っかっているという面があるのも紛れもない。とりわけ財政的には県におかげを被っているところきわめて大であります。本当におんぶに抱っこと言ってよいぐらいで、大きな子どもに背負われて母親が悲鳴をあげることもしばしばだったにちがいありません。 だが、一方でこれは運営の縛りともなりうるということも意味している。今回の三重大会はここ数年の平均の開催費用のおよそ15%減で進めなければなりませんでした。「百年に一度」という世界的な嵐の中で、戦後最悪GDP15%減という数字が5月に発表されましたが、その意味では三重県は去年の段階で先見の明があったというべきか。お見事。 冗談はさておき、財政の基盤からしてそういうわけですから、大会開催に当たってその他もろもろの制約があったのは言うまでもありません。今ふりかえるとけっこうおとなしい方だったかもしれません。いいなりだったと認めたくはありませんが、反省すべき点も少なくありません。 |
けれども、限られた条件の中でできうる限り三重県の高校演劇らしさを追求しようとしてきました。生徒実行委員会(県の呼称では運営要員)の生徒数は、大会の規模や運営にとっての必要数から決めていくというより、演劇部門に割り当てられた予算枠に応じて逆算していくような格好でした。これ自体奇妙なことですが、その結果、生徒実行委員は百三十名ということになりました。群馬や島根より少ないです。三分の一ぐらいの人数でしょうか。 しかし、禍福はあざなえる縄のごとし、というか、県下の高校演劇部員だけで実行委員会を組織していけるというのは、ある意味ラッキーでした。 生徒実行委員会の理念は、高校演劇大会を、上演・研究・組織(運営 )が有機的に結びあったものとしてとらえ、それぞれの活動を通じてお互い学び合い高め合おうというものです。 自分たち自身が劇の作り手であり、観客でもある同じ志を共有する者たちによるスクラムで大会を支えていきたいと思ったのです。ですから、よく言えば少数精鋭ですが、悪くすると穴だらけかもしれません。ですが、せいいっぱいの活動で、いつまでも心に残るような上演をお届けできればと思っています。 私事ながら、過去の全国大会の上演で、心に残る劇を一つ挙げるなら、5年前、嵐の(二重の意味で)徳島大会で見た網走南が丘高校の『チキン・カレー』。あのとき幕が下りてちょうど昼休みだったのですが、もうなんだか涙が出てきそうで、無性にチキンカレーが食べたくてじっとしていられず、鳴門の町をうろうろして、結局ある喫茶店でハンバーグカレー(チキンがなかった!)を食べたのを今でもハッキリと覚えています。ちょっとずっこけですが、みなさん、ぜひともかけがえのない演劇体験を持ち帰ってください。 (三重県高等学校演劇連盟委員長 |
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三重大会審査員 (分科会講師)
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