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「演劇創造」 復刊第118号 平成22年(2010年)4月15日
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| ■ 平成21年度ブロック代表校決定 | |
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今年の夏、宮崎県宮崎市のメディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)で8月3日(火)から8月5日(木)にかけて開催される第56回全国高等学校演劇大会の出場校が決定しました。 今大会に出場される各ブロック代表12校のみなさん、本当におめでとうございます。 九州ブロックでの全国大会開催は、2001年の福岡大会以来の9年ぶりのことです。準備にあたられる宮崎県高等学校文化連盟演劇専門部の先生方、加盟各校の演劇部のみなさんには、いよいよ夏の大会を控え一層忙しさが増し、大変なことと思いますが、よろしくお願いします。 さて、今年の全国大会を迎えるまでには昨年度、さまざまなことがありました。まず、昨年度、全国を巻き込んだ新型インフルエンザ。大会に向けて準備したのに、上演できなかった高校が各地にありました。その残念な思いは想像にあまりあります。この春には何とか終息しましたが、予測できないことへの対応が、いわば教訓となりました。 同様に予測できないことへの対応ということでは、九州ブロック大会での舞台上での事故がありました。ホールの通常管理の問題とはいえ、怪我をされた生徒のみなさんには申し訳なく思います。全国報道もされ高校演劇関係者に大きな心配をおかけしましたが、開催主管県の佐賀県および九州ブロックの先生方の迅速で、一致団結した対応で、あらためてブロック大会を、参加校に新たな負担を加えることなく実施され、ブロック代表選出をしていただきました。このご苦労とご努力には、心から感謝を申し上げます。 |
そして、別の欄にも記載されていますが、当初、従来通り開催される予定であった第四回の春季全国高等学校演劇研究大会が急遽、会場を岡山県倉敷市の倉敷芸文館に変更して行われることになったことも予測できないことでした。 緊急事態とはいえ、会場の変更依頼を直ちに受け入れていただき、県立高校の入試日程に重なるスケジュールにもかかわらず、岡山県と中国ブロックの先生方の見事な連携で大会運営が行われたことに、参加校はもちろん、観客として参加されたすべてのみなさんが感嘆と称賛の声をおくっていました。さらに、心配された観客動員も、過去の大会をあっさり塗り替える動員数で、大会の盛り上がりを見せてくれました。これには岡山県高等学校演劇協議会OBの先生方の綿密なご尽力がありました。本当に頭が下がる思いでした。高校演劇の大会は、こうした人々の手によって支えられ、作られ続けてきたのだということを改めて学んだ大会となりました。 このような昨年度のさまざまな事柄を経て迎える今大会は、全国高等学校演劇協議会の新たな著作権規定に基づき、創作、既成ともに注目される作品が並びます。ぜひ、皆さん、夏には宮崎でお会いしましょう。 なお、長年、全国高等学校演劇協議会会長として私たちを指導していただいた永嶋達夫先生がご退職され、新会長として、東京都立千歳丘高等学校校長宮田茂先生をお迎えしました。永嶋先生には、今後も私たちのご指導をお願いしたいということで、4月の理事会で名誉会長となっていただくことを決定いたしました。 (事務局長 吉田 美彦) |
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宮崎大会出場校一覧
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第56回全国高等学校演劇大会・第56回全国高等学校演劇指導者講習会
第34回全国高等学校総合文化祭演劇部門 期日:2010年(平成22年)8月3日(火)〜5日(木) 会場:メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 〒880-8557 宮崎市船塚3丁目210番地 |
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地 区
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県 名
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上演校
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作 品 名
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作 者 名
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創作既
成の別 |
| 北海道 | 鹿追高等学校 | 北海道 | 平成21年度北海道然別 高等学校演劇部十勝支部 演劇発表大会参加作品 |
井出英次 作 | 既 成 |
| 東 北 | 弘前中央高等学校 | 青 森 | あ ゆ み | 柴 幸 男 作、 畑澤聖悟 潤色 |
既 成 |
| 関 東 | 前橋南高等学校 | 群馬 | 黒塚Sept. | 同校演劇部 + 原澤毅一 作 |
生 徒 顧 問 創 作 |
| 関 東 | 甲府昭和高等学校 | 山梨 | 放課後の旅その他の旅 | 中 村 勉 作 | 顧問創作 |
| 関 東 | 村田女子高等学校 | 東京 | とぅらとぅらとぅらとぅら とぅらとぅららー ♪ |
同校演劇部 作 | 生 徒 顧 問 創 作 |
| 関 東 | 中央大学附属 高等学校 |
東京 | (急遽演目を 変更いたしました) |
臼 井 遊 作 | 生徒創作 |
| 中部日本 | 四日市高等学校 | 三重 | Father's day | 小 林 晋 作 | 生徒創作 |
| 近 畿 | 神戸高等学校 | 兵庫 | SISTERS | チェーホフ 『三人姉妹』より、 福田成樹 翻案 |
顧問創作 |
| 中 国 | 三刀屋高等学校 | 島根 | オニんぎょ | 亀尾佳宏 作 | 顧問創作 |
| 四 国 | 川之江高等学校 | 愛媛 | さよなら小宮くん | 越 智 優 作 | 既 成 |
| 九 州 | 佐土原高等学校 | 宮崎 | 銀 の 雨 | 段正一郎 作、 長尾直紀 潤色 |
既 成 |
| 開催県 | 妻高等学校 | 宮崎 | トシドンの放課後 | 上田美和 作 | 既 成 |
| ■ 第四回 春季全国高等学校演劇研究大会(フェスティバル2010) 実施報告 | |
| 春季研究大会は、二〇〇五年から、試行二回と協議会の事業として承認されて三回の計五回を東京都港区の劇団四季自由劇場で開催してきました。昨年八月末、四季の担当者から自由劇場での開催が困難となった旨の話を受け、春季大会についての議論の中で開催の可能性を提示してくれていた北海道・岡山県・京都府(事務局長が交渉)に開催についての打診をし、各地からの報告に基づいて検討した結果、平成二十一年度は三月十四日(日)〜十六日(火)に倉敷市芸文館で開催することが、十二月の第三回常任理事会で承認されました。また、平成二十二年度は、北海道伊達市だて歴史の杜カルチャーセンターにて平成二十三年三月十八日(金)〜二十日(日)に開催する予定です。今大会から、開催県枠を増やして、別表のように十校による上演を行いました。 開催半年前という異例の時期に開催が決定したため、観客動員に危機感を持った岡山県高演協は末安哲全国高演協顧問を中心に「春の全国大会を成功させる会」を立ち上げ、「かわらばん高校演劇」を発行して配布するとともに、岡山県高演協ホームページに掲載してくださり、観客動員数は、三日間でのべ千五百名に達しました。 |
開催準備日程と、岡山県公立高校の入試が重なったため、岡山県各校の教員が勤務校を離れることが困難でしたが、遠藤昌樹岡山県高演協会長(岡山県立林野高校長)のご尽力により、スタッフを確保することができました。岡山県では、舞台スタッフを企画から開催まで教員と生徒で行っていますが、今大会においても、橋本文彦岡山県立倉敷鷲羽高校教諭を総舞台監督として、各上演校の照明・音響・舞台すべてを岡山県及び中国ブロックの教員と生徒で行いました。また、作品一本一本について、参加者及び開催側の指定した講評担当に感想を書いてもらい、一部を掲示するとともに上演校に渡す試みが行われました。上演に対するフィードバックは上演校の大きな励みになると思います。 上演校の希望を生かして、じっくり時間をかけて打合せ・リハを行いゲネプロ・上演までを行うことをコンセプトにしてきたこの大会が、半年前に開催決定するという異例の状況下で実施できたのは、事務局を担当してくださった柴田利明岡山県立岡山操山高校教諭をはじめ、岡山県と中国ブロックの先生方のご尽力のおかげです。心から感謝したいと思います。 春季研究大会は自由劇場を離れて、まさに高演協独自の大会となりました。様々な問題点について検討と改善を図りながら、より良い大会にしてまいりたいと思いますので、より一層のご協力をお願いします。 (副事務局長 森本 繁樹) |
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2010年(平成22年)3月14日(日)〜3月16日(火) 於:倉敷市芸文館
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地 区
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県名
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上 演 校
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作 品 名
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作 者 名
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| 四国 | 香川 | 高松工芸高等学校 | あした色の空へ | 川田正明・西澤智子・ 原田瑞穂 作 |
| 中国 | 岡山 | 岡山操山高等学校 | 時には星くずのように | 岡田英里子 作 |
| 北海道 | 北海道 | 帯広柏葉高等学校 | to get her! (トゥ ギャ ザー!) |
同校演劇部 作 |
| 開催県 | 岡山 | 津山東高等学校 | まゆみのマーチ | 重松 清 原作、 高森 章 脚色 |
| 東北 | 青森 | 青森南高等学校 | も み じ | 木村 貴仁 作 |
| 近畿 | 大阪 | 大谷高等学校 | 村田さんと東尾さん(改) | 東尾 咲 作 |
| 中部日本 | 愛知 | 愛知高等学校 | 文七元結 | 三遊亭圓朝 作、 同校演劇部 潤色 |
| 九州 | 熊本 | 玉名高等学校 | 弱虫HERO | 樫山ゆり子 作 |
| 北関東 | 栃木 | 宇都宮中央女子高等学校 | tu sitio | 倉井 栞 作 |
| 南関東 | 千葉 | 松戸馬橋高等学校 | 神隠し『八十八ものがたり』 | 岡安伸治 作、 土田峰人 構成 |
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■ おわびと訂正
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| 前回発行の第117号(三重大会特集号)の記事の一部に誤りがありましたので、ここにおわびと訂正をさせていただきます。 1つは第一分科会報告の中で、講師をしてくださった「岩崎正裕」先生のお名前が間違って記載されていた点です。 2つ目は、審査員講評(扇田先生の文章)で千葉県立松戸馬橋高校上演の『赤鬼』(野田秀樹作・土田峰人構成)について「演出と演技に躍動感があり、特に『あの女』役の渡辺早紀(演出も担当)が迫力のある演技」と述べられている点です。 土田先生(同校演劇部顧問)のお話によると、 「演出を担当したのは渡辺早紀さんであるが、『あの女』を演じたのは菊池加穂さんである」とのことです。 ご指摘くださった土田先生ありがとうございました。岩崎先生と松戸馬橋高校の2人の生徒さん、また読者のみなさまにご迷惑をおかけしたことをおわびします。 |
| ■ 事務局通信 | |
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全国的な天候不順が続き、桜の花がまだ満開のままのうららかな春の宮崎で、平成二二年度第一回全国常任理事会及び理事会が行われました。
* まず、昨年度実施の三重大会について、実行委員長の山本先生から報告が行われました。大会期間中は多くの方にご来場いただき、特に八月一日は満員となるなど、関心の高い大会でした。 生徒講評委員会については、これまでの取組の結果、高いレベルでの講評が行われ、一定の位置づけの元で大会に好影響を与えるものとなりました。しかし、実務的な側面ではまだ理解を得られていない部分もあり、また参加した生徒の中にはまだオブザーバー的な意識を持っている人もいるなど、全体としてより一層の周知が必要との声もありました。大会の中における生徒講評の意味を確認する意味で、各地区で、上演作品について、ただ発表するだけでなく、生徒同士がお互いに作品について話し合う土壌を育てていくことが大切です。そうした取組がやがては演劇の質の向上につながっていくものと考えます。講評内容及び活動状況に就きましては、「活動報告集」に掲載されますので、ぜひ御覧いただき、各地区での生徒の今後の活動の参考にしていただきたいと思います。 宮崎大会につきましては、審査員、分科会の確認、リハーサル及び上演順の決定など、大会の概要が確認されました。八月に向けて、まだ取り組む課題は多いと思いますが、成功に向けて宮崎県の先生方のご活躍と、それに対する各方面からの支援をお願いいたします。 * |
昨年度から継続議案となっていた「著作権」に係る規定のうち「創作」「既成」の扱いについては、理事会においてさまざまなご意見をいただきました。その過程をふまえて、脚本の区分を次の通りとします。「既成」「潤色」「構成」を「既成作品」、「創作」「脚色」「翻案」を創作性の高いものととらえ「創作作品」とし、「創作脚本賞」の対象とするものとします。なお、この規定は全国大会における基準です。各地区大会についてはそれぞれの扱いがありますので、その点についてはご留意ください。なおこの規定については、全国高演協のホームページ及び「名簿」の巻末に掲載いたしますので、ご確認ください。 また、「引用」の件につきましては、さまざまな意見があり、現段階で一定のガイドラインが引きにくいこと、また全体の共通理解という点ではまだ不十分な点があることから継続議題となりました。今後、さらにご意見をいただきながら、一定の方向性を示していきたいと考えます。 第四回春季高等学校演劇研究大会につきましては、劇団四季からの昨年八月の話を経て、岡山県及び中国ブロックの先生方のご尽力により、倉敷で無事に開催することが出来ました。また、多くの方にご来場いただき、生徒にとってもよい経験になりました。心よりお礼申し上げます。なお、今年度は北海道・伊達市での開催が決定しておりますが、次年度以降については、開催地が未定となっています。候補地などご協力いただけるところがありましたら、ぜひご意見をお寄せください。 その他、日本芸術文化振興会助成及び民間支援、NHK・BSでの全国大会放送の件、「四年生」の大会参加(定時制、新タイプ校の在籍生の参加は認められている)などの情報交換、提供がありました。 * 全国高演協人事につきましては、長年本会の運営にご尽力いただき、また多くの示唆を賜りました永嶋達夫会長が、勤務校をご退職なさると共に本会会長の任を退くことになりました。それに伴い今年度から、新たに宮田茂先生が会長に就くことになりました。吉田事務局長以下事務局員につきましては、別途ご案内の通り理事会において承認をいただきました。本年度もよろしくお願いいたします。 (事務局 三上 実) |