復刊91号  WEB版


4 都道府県だより  香川県  香川県の高校演劇  (久保博信)

 昭和五十二年参加校十一校で始まった香川県の高校演劇は今年で二十四回目を数え、参加校も今年は十九校を数えるまでになりました。この間、たくさんの先輩方が尽力してくださったお陰で、ここにきてようやく全体のレベルも上昇してきたように思います。ここでは、本県高文連演劇専門部会が主催している活動内容の概略と現状について述べたいと思います。
 まず行事として毎年夏に「演劇講習会」を行っています。平成十二年度からは香川県県民ホールと共催の形で行えるようになったため、ホール代無料で県民アクトホールを二日間使えるようになりました。そこで十二年度は同じ芝居の同じ部分の音響・照明を、高校生が行う場合とプロであるホールスタッフの方が行う場合を比較して、その違いを参加者全体で考える形で行いました。この講習会は高校生にとって、アクトホールを使用できる貴重な機会になりますので、今後どのように充実させていくか、現在部会内で話し合っているところです。また講習会に関連しては県高文連全体の行事として「アーティスト・イン・スクール」事業というものがあります。 これは平成十二年度の場合、全体四百万円の予算の中で県高文連十二の部会の中から三ないし四部会で県内文化部の技量 向上のために講習会を組んでよいという制度です。これに当たると合宿講習会を組むことができるため、技量 向上はもちろんのこと、県高校演劇部員間また顧問間の交流を図ることができます。平成十一年度には当部会でも山の手事情社の安田雅弘先生と劇団R&Cの広瀬多加代先生をお招きして、ワークショップ形式で三日間の合宿を行い、大きな成果 をあげることができました。
 もうひとつの行事は毎年十一月に行っている県大会です。四国大会の予選も兼ねているため各校とも真剣そのものの大会ですが、ここ最近は参加校が毎年二十校前後あるため日程が窮屈になっていました。そこで平成十二年度は、日程を従来と比べて一日増やし、十一月の第二土日と第三土日を使った計四日間を県大会に費やすことにしました。しかし、二週に分けると第三週の土曜日を大会に使わざるをえなくなるため、どうしても観客が増えず、大会にも盛り上がりを欠いてしまいます。そこで、平成十三年度は十一月の連続する三日間を大会に充てることにし、他校の芝居を観やすい環境を整えることにしました。真剣勝負だからこそ互いの舞台をもっと観ることで、各校の技量 向上につなげてくれたらと考えています。
 県大会では劇団R&Cの八木亮三先生に審査委員長をお願いしています。その的確な講評はときに私たちの心にグサッとくることもありますが、演劇専門家の目から高校演劇をとらえていただくことは私たちにとっても刺激的であり、県下の高校演劇は全体として随分レベルアップすることができたように思います。
 ところで、本県の代表校が全国大会に出場したのは、平成七年度の長岡大会(香川中央高校「海に降る雪」)が最後です。以前には山本恵三先生や谷口尚令先生が競うように優れた作品を発表する中で、高松高校や高松工芸高校が四国代表として、たびたび全国大会へ出場していただけに今はすこし寂しい状況です。しかし、県大会のレベルは当時と比べても今の方が上昇していると審査員の先生方はおっしゃいます。つまり、県代表校が全国大会に出場したという経験は、県全体の高校演劇の力を徐々に伸ばしてきたということです。この状態から優れた力をどう育てていくか。答えは簡単ではありませんが、まずは県大会、講習会、そして各種の合同発表会を充実させていく試みをしていく中で高校生どうし、顧問どうしが刺激しあい、部会全体が大きく成長していけたらと考えています。
 今も香川県の高校演劇は発展の途上にあるといえます。 (香川県高文連演劇専門部専門部 長・香川県高演協事務局長)