復刊92号  WEB版


都道府県だより

新潟県のいま 郷直 人
  日本海側最大の面積と人口を擁する新潟県。隣県とはすべて山を隔て、信濃川・阿賀野川をはじめとする多くの河川の肥沃な平野。山形県境から富山県境まで特急電車で三時間以上はかかる広い県であるので、北から下越、中越、上越、そして佐渡と四地区に分かれている。
 本県の高校演劇の活動は一九四七年(昭和二二年)の新潟市内中等学校演劇連盟が組織され、学制改革に伴い、新潟市内高校演劇連盟に改組された。その後、他の地区にも同じような組織がうまれ、一九六七年(昭和四二年)の「県芸術祭」の開催をもって全県規模のものに発展してゆくことになる。しかし、大会は各地区の教育事務所を中心に行われていたが、一九八三年(昭和五八年)に高校演劇協議会が発足し、自立した活動ができるようになった。そして一九八六年(昭和六一年)に県高文連設立と共に演劇専門部の組織が立ち上がり、一九九五年(平成七年)には、長岡市立劇場で第四一回全国高校演劇研究大会を開催し、現在に至っている。
 一年間の活動内容を紹介すると、四月は各校、新入部員を迎えた新たな活動が始まるわけだが、まず五月に顧問総会を行い、同時に顧問研修会も開催している。最近の内容は、舞台照明の基本、雪籠などの舞台の特殊装置の作り方、顧問による台本を使っての演技練習、身体訓練、外部講師による脚本分析と読みの練習などである。
 六月は地区講習会に三地区(高校演劇では佐渡と下越は同地区)合わせて例年五〇〇名以上の生徒の参加によって実施される。内容は新入部員をふまえて、身体訓練、発声の仕方、舞台での身体行動、感情表現などの基礎から、台本を使っての演技練習と発表、モデル上演と演技指導、舞台照明の基礎など各地区で工夫して講師や会場を選んで行っている。またそれをふまえて八月には県の講習合宿を小出郷文化会館で開催し、例年二二〇名くらいが参加している。二泊三日の間で班毎にわかれ、台本を決めて一五分くらいの場面 を仕上げ、最後に発表して、演技指導を行う内容である。顧問は班毎に張り付きながら、指導力向上を図る。また、一昨年は顧問劇の発表もあった。生徒は熱い夏の合宿で、全県の演劇部員同志による切磋琢磨によって、確実に成長するようである。今年は県外から講師を招き、三日間演技と舞台や照明に分かれ、三日間基礎をしっかりやる方式になる予定である。
 九月に地区大会があり、下越地区が二会場二〇校、中越地区が一二校、上越地区が六校くらいの参加校があり、その中から一一校が選ばれ、一一月の県大会が行われる。
 全国大会へは八三年の高田商業高校の「人魚のお話」、八五年の同高校の「瞽女歌が聞こえる」、八六年の小千谷高校の「シスターシスターシスター」、九四年長岡大手高校の「大空に駆けるとき」が出場している。地区大会の参加校数は下越地区を中心に最近増加しつつあるが、創作作品や舞台において関東大会を超えるレベルの舞台を作るまでには、最近はなかなか至らない。それで創作作品の奨励のため三年前から創作脚本集を出すことになり、今年は第二作目を刊行する予定である。
 また県高校演劇協議会の発足以来「にいがた高校演劇」という機関誌を年一回出している。内容は、前年の県大会の発表校の紹介、審査委員の講評、出場校の感想、各学校の活動報告などである。
 今後も、高校生を取り巻く現代という環境のなかで、彼らの新鮮な感覚でいかに等身大の舞台を作るか、生徒とともに悪戦苦闘しながら活動を活発にしてゆきたい。 
(新潟県高校演劇連盟委員長)