復刊92号  WEB版



全国各地で催されている「周年記念事業」報告
 いま全国各地で県の高校演劇連盟の発足、あるいは地区の第1回演劇大会が開催されてから何十周年目かの節目を迎え、記念事業が行われているところが多いようです。高校演劇が今日のように教育の中で重要な位 置を占め、発展を遂げるまでには長い歴史がありました。周年事業の企画を契機として、各地区では意欲も新たに次の時代への第一歩を踏み出しています。  今回は、北海道・埼玉・大阪・広島・熊本の五道府県の事務局長に、どのような内容で周年記念事業を企画されたのかを報告していただきました。
 演劇の記念上演や講演会、さらには記念出版物やCD−ROMの発刊など、各道府県でさまざまに工夫をされている様子がうかがえます。これから周年行事を迎えることになる各地区の方々には参考になることも多いのではないかと思います。  このシリーズは、不定期ですがこれからも継続していくつもりです。各地区で行われた(あるいは計画している)周年行事の内容を演劇創造では掲載いたしますので、事務局へご連絡ください。

「北海道高校演劇の 五〇年」

 北海道が五〇周年事業としておこなったものは二つあります。
 一つは、五〇年史「北海道高校演劇の五〇年」の編集、発刊です。体裁はB5版、一一〇頁。九〇〇部印刷しました。第一回大会からの大会全記録、年表に加え、北海道高校演劇を支えてくださった方々のプロフィール、回想記、座談会など盛り沢山の内容になっています。
 もう一つは、創作脚本集の発行です。北海道では過去第三集までの創作脚本集が発行されていました。今回第三集が発行された一九八三年以降の道大会に発表された全創作作品を対象に、九六作品を選び、CD-ROM形式で初版五〇〇部を発行しました。
 これら周年事業の準備はほぼ二年前から、北海道高文連演劇専門部の専門常任委員を中心として進めてきました。予算を筆頭にクリアーしなければならぬ 課題は山積みしましたが、何とか昨年十一月の五〇回記念大会に間に合わすことができました。  北海道高校演劇の五〇年の歩みとその成果である「五〇年史」と「創作脚本集」が、全国のたくさんの皆さんの目に留まることを期待しています。 (北海道高文連演劇専門委員長 櫻井幹二 )

「埼玉の 高校演劇50 年」
 埼玉県高等学校演劇連盟は、昭和27年に生まれ、今年で50周年を迎えます。
 今年の中央発表会(県大会)は、50周年記念大会として、出場校枠を通常の12校から15校に増やし、会期も3日間で開催します。
 埼玉県では、現在15地区12会場で地区発表会を開催していますが、地区によってはここ数年中央発表会に出られないところもあります。その対策の一つとして、中央発表会の出場校数を増やすことにしました。
 その他、「50周年記念CD-ROM」を発行します。現在、鋭意、編集作業中です。埼玉 県では、前連盟会長の郷原先生が長年にわたり高校演劇の舞台写真を撮影しておられますが、それを活かすメディアとしてCD-ROMが最適であるということもあり、記念誌という形をとらないことにしました。その他、上演一覧など、データベースとして様々な形での利用が可能になるメリットもあります。
 また、顧問研究会で編集中の「超演劇基礎講座」も、CD-ROM化されます。ご期待ください。   
(埼玉県高等学校演劇連盟事務局長 塩野眞一)

広島県の四〇年 記念誌『広島県の高校演劇  四〇年のあゆみ』を発行して
 広島県高演協は、伊藤隆弘先生を中心に編集作業を進め、三月末に県高演協四〇年記念誌を発行した。大会講師の先生方・顧問・生徒・事務局の思い出と高演協の歴史を、一七二頁にまとめた。
 反響も大きく、地元紙(中国新聞四月二二日)のコラムでも取り上げられた。その一部。
 「…四〇年の高校演劇史には前史もあった。廃墟も残る昭和二〇年代後半、県大会の舞台は児童文化会館だった。大道具や小道具はリヤカーや大八車で運んだ。『明日への希望があり、みんな生き生きとして輝いていた。』と観音高校元校長の土橋訓之さん。」
 全国から寄せられた原稿は、延べ一二四本。皆さん、それぞれの立場から広島への熱い思いを書いて下さった。草創期の頃、七五年の全国大会等々、広島の四〇年は実に多くの人々の情熱によって支えられていたのだなあと、一冊の重みが手に応える。  三月二六日の発刊記念祝賀会には、全国の永島会長、前事務局長の山口先生はじめ、広島にゆかりの方々にお越しいただき、五〇年、六〇年…への思いを新たにした。 (広島県高演協事務局長 黒瀬 貴之)

大阪府高校演劇50周年を迎えて
 昨年度は、第1回の大阪府高校演劇大会から50周年ということで、記念事業として、「CDーR」の作成と大阪府高等学校芸術文化祭での合同公演の実現、大阪府大会での道井直次氏(関西芸術座)の記念講演、そして記念レセプションなどを実施した。
 50年の推移の全てを知る教員はさすがに現職では一人としていなくなり、OB諸氏にうかがうしかなくなったが、たまたまその任にあったって、初期の指導者日比野諦観氏のコレクションを整理していると、すでに60年代半ばにして「高校演劇の停滞」の打破が叫ばれていたり、60年代末にコンクールの改革が激しく議論されていたりして、その時代の空気を偲ぶことができた。
 高校教育そのものが大きな曲がり角にある現在、高校演劇がこれまで果たしてきた役割と、その中で提起してきた根源的な問いかけが、実に新しいものであることを改めて痛感する。
 このままでいいのかという問いかけはいつも私たちに突きつけられているのである。
(大阪府高等学校演劇連盟委員長 吉田 美彦)

熊本県高等学校演劇連盟創立五十周年記念事業
日時 八月九日(木) 場所 熊本市民会館
 熊本県高校演劇連盟が新聞連盟から独立発足して、既に五十有余年。県のコンクールが今年第五十回を迎えるのを記念して、八月九日(木)に熊本市民会館大ホールにおいて記念事業を開催する運びとなった。
 記念事業の内容は九日の午前中に記念式典。その後「熊本県高校演劇の過去・現在・未来」と題して草創期を支えた顧問の先生方から現役の高校生までを交えたパネルトーク。午後は高校生達による上演。そして二時半からはこの記念事業のメインである記念公演を行います。演目は「殉空のはてに」。本県の久保田和弘先生(九州ブロック事務局長)が書かれ、第二十回青年劇場創作戯曲賞を受賞した作品を、この記念公演のために書き直していただきました。現在この公演を成功させようと、顧問・OB・生徒が一体となって一生懸命に練習しています。そして夕刻からは祝賀会を開きます。また年度内には五十周年の記念誌の発刊も予定されております。
 八月七日に福岡での全国大会の後は是非熊本まで足を伸ばしてください。皆さんのご来熊を心よりお待ち申し上げております。 (熊本県高等学校文化連盟  演劇部委員長 岩永 敦)