復刊96号  WEB版


第48 回 全国高校演劇大会 (神奈川大会) を終えて 原  淳 一

 「やっと終わった!」というのが今の正直な気持ちでしょうか。平成十三年一月の南関東大会をベースに実質的な準備を始めてからというもの、めまぐるしい日々を過ごしてきました。今年の大会は久しぶりの首都圏開催ということで、例年以上の観客数がみこまれると、全国高演協事務局からも十分な体制づくりを求められてきました。また、神奈川県の総文祭事務局の力の入れようもプレッシャーになりました。しかし、気心の知れた顧問たちや生徒実行委員会の諸君たちの協力のもと、なんとか開催の日を迎えることができました。この間、何度も総文祭事務局とのやりとりを重ねて膨大な資料を作成したり、数多くの運営会議を持ってきました。これまでは自分たちの連盟のなかだけで処理するだけですんでいたことが、総文祭事務局を通ってくると新たに練り直さなければならなくなったりで、二度手間、三度手間に煩わされる日々でした。しかし、休日を返上して準備に参加してくれた生徒諸君の姿を見ていると、我々も頑張らなくてはならないなと度々思わされました。また、何とか相模原という土地柄を出すことができないかということも苦心しました。何とか地域の方々にも協力していただこうと、各方面との折衝にも時間を割きました。はたしてどれだけ成果があがりましたでしょうか。
 ともあれ、こうして開催の日を迎えたわけですが、一番気にかかっていた入場整理に関しても大きな混乱なくできたことにはホッと胸をなで下ろしました。これには運営にあたってくれた生徒諸君の努力もさることながら、お越しいただいた観客の皆さんのご協力によるところが大きいと感謝しております。「これこそ高校演劇の仲間たちだ」という思いを新たにしました。また、お昼の休憩時間に観客席から全員出ていただくという処置をとらせていただきましたが、こちらにつきましても観客の皆様のご協力により、スムーズにできましたことを感謝している次第です。これは、緞帳を開けないと裏の搬入口が開けられないという、ホールの構造上の問題によるところですので、改めてご理解いただきたいところです。
 全体の進行につきましても大きな問題を抱えることなく進めることができました。これには同じ会場で南関東大会を開催したという経験が大きかったと思っています。また、その都度全国高演協事務局の指示をいただけたことも幸いしたと思います。特に全国高演協事務局に神奈川から参加しているお二人が、常にそばにいてくれたことは大変心強いことでした。心より感謝しております。

 一方、運営に煩わされるあまり、熱心なご指導をいただきました講師の先生方に対しまして失礼がなかったかと案じております。この場をお借りして、あらためて御礼とお詫びを申し上げる次第です。
 とにもかくにも、何とか無事に全国大会を終えることができました。高演協会長・全国事務局をはじめとして関係諸機関・諸先生方のご指導とご協力に心より感謝申し上げます。 神奈川県高等学校演劇連盟 全国大会実行委員長 神奈川県立上溝南高等学校

 

「出会い」と出会う。 神奈川大会生徒実行委員長    

  今年、8月9日から11日まで本当に熱い、第二十六回全国高等学校総合文化祭演劇部門がグリーンホール相模大野で開催されました。この大会に、私が生徒実行委員長として参加できたのはとても名誉なことでした。
 全国大会の準備に具体的に取り組んだのは、昨年の福岡大会の視察に、福岡サンパレスに行った事でした。そこで私は、この大会の大きさを知り、本当に感動できるすばらしい大会だということを目で見て、心で感じることができました。さらに、視察の中で、今まで先が見えず手探りでとにかくがんばろうというあいまいな目標から、やっと「感動と出会えるハデで楽しい大会にしよう。」というはっきりした目標が見えてきました。その目標を達成するために、神奈川の生徒実行委員のいくつかの高校から代表生徒を集め幹部を構成しました。約10人の幹部を中心に、大会前日に行われる生徒交流会を重点に置いて具体的に話し合っていきました。大会が近づくにつれ、話し合いの回数も増えていきましたが、幹部の中で「話し合いに来るのが楽しみだ。」と言ってくれた子がいました。その時、演劇だけではなく、違うものもいろいろ学んでいることに気づきました。さらに話し合っていく中で、「演劇らしく、神奈川らしく、そして私たちらしい大会。」という新たな目標も見えてきました。
 生徒交流会当日は、とても楽しい時間を、出場校、実行委員お互いに過ごせたのではないでしょうか。初めに出場校をくじでバラバラの席に座らせて、チーム分けをし、違った高校の生徒同士の交流を計りました。その結果、座っている時も、あらゆるゲームの中でも、出場校同士の方たちがまるで、以前から知ってる友達のように話していました。時間が押して焦りながらの進行でしたがそこは演劇部、アドリブなどをうまく入れてうまく進行していってくれました。生徒交流会は、成功に終りました。ここではたくさんの仲間と出会うことができました。私は神奈川県のマスコットキャラクターかもえもんの着ぐるを着ていましたが、役員がしっかり進行していってくれたので、自分の仕事に集中できたと思います。
 生徒交流会の盛り上がりのまま、全国大会自体も盛り上がっていました。ずっと創りつづけてきた最高の舞台を、グリーンホール相模大野の舞台に出せたのではないでしょうか。実行委員たちも、しっかり自分の役割を把握して運営していました。
 大会の3日間は、準備とは違いまるで夢のように過ぎていきました。お腹を抱えて笑ったこと、頭を抱えて悩んだことが、私の心の中に強く残っています。「仲間」と「感動」と「出会い」に出会い、最高の夏を過ごせました。今では全国中に仲間がいます。
 来年は、福井県で行われる全国大会に出場校として後輩を連れていけるように、全国大会で学んだものを全て出して、舞台を創り上げていこうと思います。出場校のみなさん、実行委員、先生方、関係者の方々、そして観客の方々、本当にありがとうございました。

 

●天井桟敷  神奈川の全国大会も何とか無事に終わることができた。毎年全国大会の開催に携わってきたが、地元開催で新たに学んだ事が多々あった。
 例えば、生徒の引率を伴わなくても、全国大会の準備に係わる会議への出席は出張と認められた。ところが、地区大会・県大会等、通常の活動に係わる会議への出席は、出張として認められない状況である。一方で全国大会を開催しながら、その源泉としての日常の活動を蔑ろにする姿勢には、大きな疑問が残る。
 全国各地からも、出張のしずらさや、校内における部活動そのものの位置付け等々、多くの困難を抱えている声が聞こえてくる。高文連・高体連の法人化により、部活動の全国組織は学校教育の外部団体として扱われることになってしまった。文部科学省のスポーツや文化活動を地域活動に移行していこうとする方向性は、活動そのものを鈍化させてしまうのだろうか。高校演劇の炎を消すようなことがあってはならない。 (森本)