復刊99号 福井(鯖江)大会特集号  WEB版


第49 回全国高校演劇大会(福井大会)を終えて 向井 清和

 ここ数年の全国大会は、たいていよいお天気に恵まれていました。ところが今回は、たぶん私の不徳とするところが大きかったのでしょう、台風がまともにぶつかってきて、横断されてしまいました。
 幸い、不思議なことに、台風の被害自体はほとんどなく、大きなとりかえしのつかない事故はありませんでした。しかしながら、十分な人手に恵まれていないこともあって、あちこちでずいぶんいろいろな不行き届き、不手際が起こってしまったことを、ここでおわび申し上げます。すべては実行委員長の私の責任だと思っています。
 思い返せば、全国大会がやってくる、という声を聞くまではあまりまとまりのなかった福井県の高校演劇でした。中部ブロックの中でも、いつも後塵を拝すばかり、どうせ自分たちはレベルの低い、田舎者の芝居しかつくれないと過小評価するばかりの、コンプレックスに満ちた私たちでした。
 福井県自体が、演劇などの文化
的なものへの理解をもつ人々が少なく、どんなにすぐれた芝居が福井へ来ても、劇場が満席になることはないようなところです。極論かも知れませんが、金にならないことをするのは馬鹿のすることだというような意識の低さが、現実に少なくないようです。
 私たちは、正直全国大会なんて返上したい、何度もそう思ってきました。しかし、やらねばならないことはやるしかない、そう覚悟を決めて、準備に取り組んできました。その過程で、幾つもの難関が立ち塞がり、そのたびに不信、不満は募り、意欲はそがれ、ストレスフルな日々が続きました。
 もちろん、いやなことばかりではありませんでした。芝居がそうであるように、互いに信じあわなければ何も生まれない、そう訴え続けてきたことを、顧問や生徒たちは少しずつ理解してくれるようになりました。私のような頼りないリーダーの下でも、まとまってくれるようになり、全国大会のためにだれもが一生懸命にやってくれました。本当にありがたいことでした。
 ちっぽけな県で、全国大会を引き受けざるを得ないことの苦しさを痛感しました。そんな苦しさを理解してくださっている全国の先輩たちから励ましをいただいたのも、本当にうれしいことでした。
 それにしても、至らない点、反省すべき点が多々ありました。会場の規模が小さいことから、観客
が溢れることをずいぶん危惧しましたが、蓋を開けてみればそれほどのことはなく、むしろ私たちが神経質になりすぎ、へんなところで柔軟性に欠けた対応をしてしまったところがあり、大変申し訳ないことばかりでした。
 なお、今大会の最大の課題であった生徒講評の試行については、また別に改めて総括してみたいと思っています。これもまた、各ブロックのご理解とご協力なしにはできなかったと、深く感謝しています。
 それにしても、長い三日間でした。つくづく、ふさわしくない器の私が、よくもまあ、なんとか倒れずに一応の閉幕を済ませられたものだなあと思っています。ありがとうございました。
(福井県高校演劇連盟委員長福井県立丸岡高等学校)

感動的な大会を  生徒実行委員長
 今年、8月10日から12日まで熱く、感動的な第二十七回全国高等学校総合文化祭演劇部門が鯖江市文化センターで開催されました。この大会に、私が生徒実行委員長として参加できたことはとても名誉なことでした。
 この全国大会の生徒実行委員長をすることが決まったとき、大会の規模やするべきことなどまったく分からず、ちゃんと自分に出来るだろうかという不安がありました。全国大会の準備のひとつとして、昨年行われた神奈川大会の視察に行き、そこで全国大会の大きさを改めて知り、またこの大会が感動できるすばらしい大会だということを実感しました。そして、この視察の中で、神奈川大会の生徒実行委員長をしていた米田さんとお話しでき、はじめあった不安もなくなり、「福井でする大会は、心に残るような楽しい大会にしよう」という意欲が湧いてきました。そのため、生徒実行委員の各チーフに集まってもらいどのような大会にするか、この福井をどのようにアピールするかなど、色々話し合っていきました。その話し合いの中で、自分一人では思い付かなかったことや、ここはこのように直したほうが良いということなどが、次々とあがってきてとても有意義な話し合いになりました。
 そして大会当日の朝はとても緊張しました。開会式は近松門左衛門にちなんで、浄瑠璃風に進めました。そのとき、客席に座っている人の多さに圧倒され、また不安になりましたが、これまで準備してきたことを思いだしベストを尽くそうと思いなおしました。生徒交流会では、福井の方言などを取り入れたゲームをしたり、マスコットキャラクターのりゅうりゅうの恋人をみつけるゲームをしたり…出場校のみなさんととても楽しい時間を過ごせました。
 全国大会自体も、今までずっと創りつづけてきた最高の舞台を、ここ、鯖江市文化センターの舞台に総て出しきれたと思います。また、私たち実行委員もちょっと、慌てたところもあったけれどスムーズに運営できたと思います。
大会の3日間は、準備のときとは違いまるで夢のようにあっという間に過ぎていきました。すごく笑ったこと、頭を抱えて悩んだこと、ちょっと失敗してしまったことなどが私の心の中に強く残っています。熱く、感動的な大会になり、最高の夏を過ごせました。
 出場校のみなさん、実行委員、先生方、関係者の方々、観客としていらしてくれた方々、本当にありがとうございました。そして、来年度開催地の徳島のみなさん、いろいろ大変なこともあると思いますが頑張ってください。
(福井大会生徒実行委員長)

 

 

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