全国高等学校演劇協議会事務局
生徒講評委員会担当
生徒講評委員会とは
演劇を成立させる要素は、演じ手と観客の二つである。講評委員会は観客の立場から、上演を真摯に受
け止め、学ぶ立場から講評を行う。それを集団で行うことにより、集団講評を実現する。それらの成果を、講評文にまとめて上演者との討論により、上演者との学び合いの契機をつくる。また、講評文の発行を通じて観客への発信の場とする。
I.高校生の動き
1.構成員
全国大会においては、開催県2・次年度開催県1・ブロック代表1を原則とし、開催元の状況に応じ
多少増減するものとする。生徒講評委員⾧は開催県の生徒とする。
2.観劇体制
全ての発表を全員で観劇することが原則である。引率顧問達もできるだけ全ての発表を観る。進行の
都合上、生徒講評委員および顧問は審査員座席付近の一カ所にもうけられた席で観劇する。
3.討論
観劇後、幕間の時間に別室で、討論を行う。制限時間は20分とする。その討論は意見の共有を原則
とするため、全員そろった形で行う。討論は原則公開とする。司会進行はその劇の講評文を書く委員
が、ホワイトボードへの速記は講評文を書かない委員が行う。講評文作成用に、データでの速記を、
講評委員以外で2~3名程度行う。また、1日目、2日目の上演終了後、その日の追加討論を必要に
応じて行う。
4.講評文の作成
討論内容をまとめて講評文を作成する。討論に出てきた内容を講評文の基本型とし、データ速記から
担当委員が作文していく。講評文は担当委員のみで書き上げる。書き上げるまでは生徒講評担当教員
(以下、『アドバイザー』と表記)や引率顧問は方向づけや相談に乗るなどの手伝いは行わない。作成
は、その日の上演が全て終わった後とする。1・2日目上演校担当委員は22時までに第1稿を書き
上げてアドバイザーに提出する。3日目上演校はアドバイザーからの指示を受け、感動の熱が冷めな
い近日内に第1稿を仕上げる。第1稿の添削を受けて、最終版を仕上げる。
5.講評文の公表
できあがった講評文は、大会終了後に全講評文の添削終了後に全国高演協webに掲載する。また、翌
年の活動報告集に講評文を掲載する。
6.分科会
分科会の一部門として生徒講評を置く。この場で、上演校および他の観客との意見交換、生徒講評活
動における討論体験など、時代や傾向に合わせて事前にアドバイザーで内容を検討し、互いに演劇に
対する理解を深める学習の場として、また生徒講評活動の意義と活動自体の普及をめざす場として位
置付ける。
II.運営・引率顧問の動き
高校生の視点で文章を書く、学び合いの観点から観劇者としての視点を作る事を最大の目的とする。そ
のために必要な環境・観劇のための視点・世界観の育成・集団づくりなどは顧問が提供する物である。運営については、できるだけ開催県の担当者が中心になってこれを行い、アドバイザーがサポートすることを基本とする。また、いずれの内容についても両者が相談協議しながらすすめていく。
a. 開催県担当者の担当事項
1 講評委員会の実施要領の作成・提出。 <前年度大会中の理事会および開催年度4月の理事会>
2 宿泊場所、宿泊費その他の費用について、確定・案内。 <開催年の1,2月、各ブロックへの募集
時。および6,7月の事前指導>
3 メンバー(生徒および顧問)の募集、受け入れ、確定作業。 <開催年の4月上旬まで>
4 活動プログラムの確定、周知、運営。必要機材の確保(別欄) <概略は募集時に。詳細6,7月>
5 事前にメンバーの紹介、諸連絡、事前課題の指示、指導などの通信(コミュニケーションペーパー)
を作成し、送付。 <5~7月>
6 事前課題の添削(2回実施) <5月~7月>
7 食事、入浴、睡眠など生活に関わる案内・進行。救急の態勢準備。 <事前指導および大会期間中>
8 周辺案内やアイスブレイキングの企画・進行。 <6,7月~大会期間中>
9 講習会分科会(合評会)の内容精選、準備・運営。 <6,7月~大会期間中>
10 大会中の講評活動の進行・統括。講評文担当者等の確定。 <大会期間中>
11 生徒講評委員⾧による全体講評の進行指導。 <大会期間中>
b. 生徒講評委員会運営に必要な条件
この取り組みは、合宿の意味合いが非常に強い。そのためには引率顧問共々合宿できる体制にする必要がある。
会場と宿泊施設に討論と作業する場所の確保が必要。
講評文作成のためには生徒の中に舞台を観る上での観点を指導する必要がある。指導のためにビデオ(VTR、DVD、Blu-rayディスクなど)を上映機器を必要とする。 また、入力の効率化のために必要に応じてノートコンピューターを班の台数分(5台前後)確保することが必要である。手書きで全てを行うといつまでも終わらない事態が生まれる。
c. 全国協議会としての担当者の担当事項
アドバイザーは全国高等学校演劇協議会事務局員から2名、講師として事務局から派遣を依頼された教員2名程度で構成するものとする。
アドバイザーは全国大会生徒講評委員会担当者との協力・連絡を密に取る。そのために以下の内容につい
て検討し、担当者が連絡を取りやすい条件を整備する。
1 講評活動の趣旨や理念について、関わる生徒や顧問その他への提示・周知。 <大会開催年の1,2月、各ブロックへ講評委員の募集時。6,7月の事前指導。さらに大会期間中>
2 講評文の書き方、討議の仕方などの基本についての事前指導。 <開催年の6,7月>
3 大会中の顧問の打合会の進行 <期間中、できるだけ毎日>
4 NHK関係の調整 <大会前、大会中>
5 講評文の活動報告集への掲載。 <大会後>
d. 引率顧問の担当事項
1 引率顧問は生徒講評委員のみを引率することとする。出場校引率、都道府県視察、個人的な観劇など、生徒講評活動以外の目的を持った生徒の引率を兼ねることはできない。
2 引率生徒と活動をともにし、生徒の健康・様子などを適宜観察し、サポートする。
3 引率生徒と一緒に観劇し、幕間討論など討論を見守り、必要があれば情報を提供したり、意見を述べたりする。生徒の見方や意見を尊重することを前提とする。
4 大会中毎日、教員の打ち合わせを行う。
5 よりよい集団作りを意識し、現地担当教員、アドバイザーに協力する。
*講評文作成時の顧問の指導の観点
・ 内容については原則相談には応じない。
・ 観劇の観点について顧問の主観に誘導しない。
・ あくまで担当生徒の文体を尊重する。
・ 討議に出てきた内容に沿った文章であることを確認する。
・ 誤字脱字は速やかに修正のアドバイスをする。
・ 顧問側の主観を文章に入れない。
2004年制定 川村信治・中島 憲
2007年改訂 川村信治・中島 憲
2024年改訂 豊嶋了子・田邊正雄