新橋演舞場に行ってきた。

新橋演舞場 新橋演舞場に行ってきた。観た芝居は「母をたずねて膝栗毛」 何とマキノノゾミ氏の作である。なぜ行ったか。千葉県演劇部会の恒例行事、舞台研修会として行ったのだ。立派な研修なのである。毎年この時期に東京への千葉顧問団観劇ツアーを組むのだ。ツアーと言っても各自午前中の研修会場や学校から劇場に来るだけである。なぜ新橋演舞場なのか。この企画の主催者は、連続で登場いただくが、千葉の筆頭演劇おじさん、土田峰人先生である。この新橋演舞場には土田氏の教え子がなんと3人も(4人だったかな)勤務しているのだ。こういうのうれしいよね~。で、そんな関係で昨年と今年、二年連続で新橋演舞場なのだ。 舞台研修会の対象舞台として新橋演舞場の公演が選ばれることはこれまでなかった。だいたいは紀伊国屋サザンシアターとか、本多劇場とか、スズナリとか、まあそういうところでやられるような劇を選ぶのが通例だった。だってやはり客層も劇もかなり違うものねえ、紀伊国屋と新橋演舞場では。我々が普段観ているのも、稽古しているのも紀伊国屋系ですし。 でも私、この新橋系の劇、かなり気に入っているのです。いや、劇じゃない、「観劇」が気に入っているのです。観劇と言うのは、劇はもとより、劇場の雰囲気、施設、受付案内、お弁当、食事処、劇場に行くまで、劇場を出た後まですべてを指す。つまり多くのお客さんにとって、新橋演舞場で観劇することは、ハレの日の一大イベントなのですね。学校終わってから大急ぎで電車に飛び乗り、開演5分前に劇場に着き、難解な芝居に頭をひねりながら、終電を気にしながら飲んで帰るという慌ただしい、仕事のような紀伊国屋系観劇とは全く違うのである。 このゆったり感、非日常感、気に入っているのは私だけではない。この日の参加者30名弱。大人気なのである。ただ教員の集団はふつうでも異様なのに、新橋系の中ではさらに異様な一角に見えましたけど。普段は鋭い目で演劇を観る先生方が、このゆったり感に完全に包まれて、口元は緩み、時に船をこぎ、定番のギャグでだらしなく笑う幸せな約4時間なのでした。 そう、前半1時間半、後半1時間半、幕間に40分ほどの食事休憩が入るから4時間なのだ。でも長いとは感じない。眠くなったらがまんする必要がないのだ。ちょっとうつらうつらしても、筋に置いて行かれることはない。目が覚めたとき、ちゃんと予想通りに展開しているのだ。この安心感。個々の役者の力もあるし、何と言っても面白い。定番の親子の情愛の会話など、ちゃんとジーンと来るから不思議だ。いつも高校演劇のコンテストで、緊張して、批評的に観ているからなあ。心をだらけさせれば、演劇いや観劇はかくも楽しいものなのか。定番、類型、予定調和・・・これもいい。
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