全国高等学校演劇発表大会生徒講評部門生徒講評委員会実施・運営原則

2024.6.30
全国高等学校演劇協議会事務局
生徒講評委員会担当
香川県立観音寺第一高等学校 豊嶋 了子
大阪府立交野高等学校 田邊 正雄

生徒講評委員会とは

演劇を成立させる要素は、演じ手と観客の二つである。講評委員会は観客の立場から、上演を真摯に受け止め、学ぶ立場から講評を行う。それを集団で行うことにより、集団講評を実現する。それらの成果を、講評文にまとめて上演者との討論により、上演者との学び合いの契機をつくる。また、講評文の発行を通じて観客への発信の場とする。

I.高校生の動き
1.構成員
全国大会においては、開催県2・次年度開催県1・開催ブロック内の都府県各1・ブロック代表1を原則とし、開催元の状況に応じ多少増減するものとする。生徒講評委員長は開催県の生徒とする。
2.観劇体制
全ての発表を全員で観劇することが原則である。引率顧問達もできるだけ全ての発表を観る。進行の都合上、生徒講評委員および顧問は審査員座席付近の一カ所にもうけられた席で観劇する。
3.討論
観劇後、幕間の時間に別室で、討論を行う。は討論時間は20分を目途とする。その討論は意見の共有を原則とするため、全員そろった形で行う。討論は原則公開とする。司会進行はその劇の講評文を書く委員が、ホワイトボードへの速記は講評文を書かない委員が行う。講評文作成用に、データでの速記を、講評委員以外で2~3名程度行う。また、1日目、2日目の上演終了後、その日の追加討論を必要に応じて行う。
4.講評文の作成
討論内容をまとめて講評文を作成する。討論に出てきた内容を講評文の基本型とし、データ速記から担当委員が作文していく。講評文は担当委員のみで書き上げる。書き上げるまではアドバイザーや引率顧問は方向づけや相談に乗るなどの手伝いは行わない。作成は、その日の上演が全て終わった後とする。1・2日目上演校担当委員は22時までに第1稿を書き上げてアドバイザーに提出する。3日目上演校はアドバイザーからの指示を受け、感動の熱が冷めない近日内に第1稿を仕上げる。第1稿の添削を受けて、最終版を仕上げる。
5.講評文の公表
できあがった講評文は、大会終了後に全講評文の添削終了後に全国高演協webに掲載する。また、翌年の活動報告集に講評文を掲載する。
6.分科会
分科会の一部門として生徒講評を置く。この場で、上演校および他の観客との意見交換、生徒講評活動における討論体験など、時代や傾向に合わせて事前にアドバイザーで内容を検討し、互いに演劇に対する理解を深める学習の場として、また生徒講評活動の意義と活動自体の普及をめざす場として位置付ける。

II.運営・引率顧問の動き
高校生の視点で文章を書く、学び合いの観点から観劇者としての視点を作る事を最大の目的とする。そのために必要な環境・観劇のための視点・世界観の育成・集団づくりなどは顧問が提供する物である。運営については、できるだけ開催県の担当者が中心になってこれを行い、アドバイザーがサポートすることを基本とする。また、いずれの内容についても両者が相談協議しながらすすめていく。
a.開催県担当者の担当事項
1 講評委員会の実施要領の作成・提出。 <前年度大会中の理事会および開催年度4月の理事会>
2 宿泊場所、宿泊費その他の費用について、確定・案内。 <開催年の1,2月、各ブロックへの募集時。および6,7月の事前指導>
3 メンバー(生徒および顧問)の募集、受け入れ、確定作業。 <開催年の4月上旬まで>
4 活動プログラムの確定、周知、運営。必要機材の確保(別欄) <概略は募集時に。詳細6,7月>
5 事前にメンバーの紹介、諸連絡、事前課題の指示、指導などの通信(コミュニケーションペーパー)を作成し、送付。 <5~7月>
6 事前課題の添削(2回実施) <5月~7月>
7 食事、入浴、睡眠など生活に関わる案内・進行。救急の態勢準備。 <事前指導および大会期間中>
8 周辺案内やアイスブレイキングの企画・進行。 <6,7月~大会期間中>
9 講習会分科会(合評会)の内容精選、準備・運営。 <6,7月~大会期間中>
10 大会中の講評活動の進行・統括。講評文担当者等の確定。 <大会期間中>
11 生徒講評委員長による全体講評の進行指導。 <大会期間中>
12 講評文の最終チェックとweb掲載(全国事務局HP担当者に依頼) <大会終了後8月中>
13 参加委員・引率顧問への振り返りアンケートの実施・集計 <8月~9月>

b.生徒講評委員会運営に必要な条件
この取り組みは、合宿の意味合いが非常に強い。そのためには引率顧問共々合宿できる体制にする必要がある。
会場には討論、アイスブレイキング、研修、飲食等ができる場所の確保が必要。
宿泊施設には討論、研修、執筆ができる場所の確保が必要。ただし、執筆は自室で可。Wi-Fi環境が整っている必要がある。
講評文作成のためには生徒の中に舞台を観る上での観点を指導する必要がある。指導のために上映機器(DVD、ブルーレイ等を再生するもの)を必要とする。 また、入力・収集の効率化のためにクラウド上に共有フォルダを作成し、提出してもらう。必要があれば開催県でノートコンピューターを確保することが必要である。

c. 全国高等学校演劇協議会としての担当者の担当事項
*全国大会生徒講評委員会担当者との協力・連絡を密に取る。そのために以下の内容について検討し、担当者が連絡を取りやすい条件を整備する。
1 講評活動の趣旨や理念について、関わる生徒や顧問その他への提示・周知。 <適宜>
2 講評文の書き方、討議の仕方などの基本についての事前指導。 <開催年の5~7月>
3 大会中の顧問の打合会の進行 <期間中、できるだけ毎日>
4 NHK関係の調整 <大会前、大会中>
5 講評文の活動報告集への掲載依頼  <大会後>

d.引率顧問の担当事項
1 生徒と活動をともにし、生徒の健康その他をサポートする。
2 生徒と一緒に観劇し、幕間討論など討論を見守る。生徒の見方や意見を尊重することを前提とする。
3 大会中毎日、顧問の打ち合わせを行う。
4 よりよい集団作りを意識し、協力する。
5 講評文作成に関して原則アドバイスはしない。

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