往復はがき買いましたか?

5月31日である。 4月はあんなに長く感じたのに、5月になるとやっぱり早い。ゴールデンウイークが終わって、校外学習、中間試験、きのうは球技祭で、はい5月終わりだ。授業中「高2の5月は永遠に戻らない」と2度つぶやいたが、特に反応はなかった。きっと高2の素晴らしさ、5月の素晴らしさに気づいていないのだろう。 さて、明日から6月である。5月は素晴らしいと書いたが、高校演劇的には6月だって素晴らしい。だって、全国大会の入場整理券はがき受け付けが始まるのだもの。6月6日からですよ。お忘れなく。往復はがきを買いに行こう。 さて、5月に観た芝居に、青年劇場の『みすてられた島』(中津留章仁=作・演出/ 第110回公演/紀伊國屋サザンシアター)があった。近未来の終戦後、ある島が日本国から切り離されることになり、独立憲法を作ることになるお話しである。村長のおじさんが家に帰ってきて、奥さんに「憲法ってどうやって作るんだっけ?」と聞くところがおかしい。その後、村の幹部が集まってきて、ちゃぶ台を囲んで、延々「軍隊は必要か」とか「戦争はしてもよいか」と議論しあっていくのである。その長いこと。でも今が今だけに自分の心の中にも問いかけてくるものがある。プログラムによれば、本当の終戦直後「伊豆大島独立構想」と言うのがあって、大島暫定憲法なるものが住民の手によって作られたらしい。そしてそれは今の憲法とかなり似たものだったということである。 さて、この作品、中津留章仁と言う劇作家・演出家と青年劇場の共同制作である。確かに青年劇場テイストなところは満載であるが、根幹を書いたこの中津留氏に大変興味が湧いた。大分県出身の若い方である。トラッシュマスターズという劇団の主宰者である。プロフィールによれば、「初期はコメディタッチで毒のある作品を中心に上演していたが、その後ストレートプレイの枠組みの中で、より独創的で革新性あふれる舞台表現を求めて作風を一新する。現在では、現代社会が抱える問題等を取り入れた骨太な物語で、観る者の魂を揺さぶる重厚な人間ドラマを中心に描いている。」とある。確かに「原発」「尖閣諸島」「医療問題」「学校のいじめ」などなど2文字から6文字でタイトルは打てても、2時間の芝居では描ききれないと臆してしまうような現実問題である。(実際、氏の作品は長いらしい。今回は休憩入って3時間弱。劇団では休憩なしで3時間とのこと) でも今度観に行きたいですね、中津留作品。芝居を観ながら盛り上がる作品もいいけど、後から考えさせてくれるような作品が好きになってきたりして。最近、文学座もこちらの青年劇場も若い世代の劇作家に台本依頼することが多くなってきているけど、それっていいことですよね。その劇作家のファンを老舗劇団に連れ出すだけでなく、最近の演劇の才能に疎い私たちに、「この人の、観るといいよ!」と指針を与えてくれるのですから。きっと老舗劇団の方々も、アンテナめぐらして、あちこち若手劇団を観に行って情報仕入れているのだろう。老舗と若手のコラボは魅力的である。
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