昨年書き残したこと。

2015年。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします・・・って、元旦からブログを書くなんて、心を入れ替えたのではないだろうかと思うだろう。心は入れ替わってはいない。だいたい年をまたいだだけで、1日で変わるはずもない。年末に書こうと思っていたことの続きである。いつの間にか、年を越してしまったということである。

 

この年またぎ、だんだんあまり感慨もなく、1年も振り返ることもなく、次の年に突入してしまうことは年齢上仕方ないだろう。昨日は家族で紅白歌合戦を見たが、特に前半若い歌手が出てくるたびに、「誰だ、これ?」「この人たち人気あるの?」「何歌っているかわかんない」「最近の紅白面白くないな」と毒づいていた。でも気が付くとこれって、自分が子供の時に親がよく言っていたことなのですね。サザンとか山口百恵の歌に対して。その時は「まあ、何てシラけることを言うのだろう、黙って見ていればいいのに」と心の中で親に毒づいていた。で、今度は後半になって、自分の世代の歌手が出てくると、「やっぱりこの歌いいわあ!」と酔いに任せて叫び、口ずさんでいる。子どもたちは寝むそうな顔をしている。そして裏番組(このいい方もひどい)に変えようとする。こちらは必死に阻止する。40年前と同じなのである。自分が年をとったなあ、と思うと同時に、紅白の役割、つまりマンネリの極地でありながら何世代もつなぐタイムマシーン的な家族接着剤的役割に改めて紅白の凄さを知る・・・なんてこう分析するところが年なのである。ところで、森進一って、自分が子供の時も紅白に出ていて今も普通に出ているのだけど(しかもあまり年を感じさせずに)、この人こそ世代の接着剤?さらにサザンのサプライズ登場!31年ぶり!でその時司会がタモリだったなんて! !!!続きの紅白でした。(サザンの年越しライブはちゃんとWOWWOWで撮っていましたよ) あと石川さゆりの「天城越え」を聞かずに年を越すな、というNHKのメッセージを感じましたね。紅白は見ているものみんなでいろいろ突っ込めるところが面白いのだ。

 

さて、昨年書き残したこと、ブロック大会訪問である。前に書いたように、昨年12月の後半は、2週に渡ってブロック大会が3つ重なるいう、ブロック大会めぐりおじさんおにいさんたち(最近こういう人種がいる)にとっては困る日程配置だったのである。で、私は、鹿児島の九州大会と奈良の近畿大会にお邪魔した。なぜそこなのか、理由はいろいろあるが・・・いや、本当は特にない。だって、3つのうちの一つなのだから。思い立ったところに行くだけなのだ。

 

まず九州大会は鹿児島にて。実は鹿児島県は全国総合文化祭の47番目、つまり一番最後の開催予定地である。高校演劇全国大会の数え方では第69回となる。平成35年(2023)かな?ひぇ~。(あくまで予定である。現在内定しているのは、平成31年(2019年)の佐賀県までである。)だからその視察を兼ねて、何て大それた理由はない。ただ鹿児島、何か魅力的ではありませんか。で、行ってみると想像以上に魅力的なところでした。まずは桜島。これだけ近くに見えれば、やはり静岡県の富士山信仰と同じく、朝に晩に昼に夜に、桜島に向かって、あいさつをしたくなるもの。「今日はご機嫌どうですか?」「笑ってますね」「怒ってますか・」と。しかも実際噴火しているからリアルタイムである。会場は、鹿児島県民交流センター県民ホール。鹿児島市の官庁街の中心に位置する、メジャーなホールです。周辺には歴史的建造物や観光スポットが多い。鹿児島の街、観光に力を入れているらしく、観光地が整備され、案内掲示板がいたるところに立ち並び、観光客にとても優しいところ。年末だったので特別なのかもしれないが、夜の街のにぎわいもなかなかのもの。新幹線開通でますます盛り上がる、九州の代表的都市なのでした。(博多~鹿児島間の開通は2011年3月12日。ぐっと地味なものになってしまったのでした。)

 

 IMG_20141220_110217

県民交流センター。堂々。

 

IMG_20141220_110146

その横にある県政記念館(旧鹿児島県庁本館玄関部分)もただものではない。

 

IMG_20141220_111432

IMG_20141221_100943

市内には銅像が多い。鹿児島歴史資料センターにて。(鶴丸城跡内)

 

IMG_20141221_101414

桜島、リアルタイム。活火山。

 

 IMG_20141221_114406

いい街には路面電車が走る。長崎、広島、富山、松山、そして鹿児島。 で、九州大会。ここは昨年も書いたが、創作作品の宝庫。全ブロックの中でも創作作品の割合はずばぬけて高い。北海道も高い。北海道と九州がなぜか高い。顧問の先生方も元気である。今回はその元気さに完全に脱帽。九州からの夏・春の全国大会推薦校3校については先にコメントを書いたので、ここでは別の1本だけ。 沖縄県立向陽高等学校が上演した「ナイゲン」(冨坂友/作)。プロの劇団が上演した既成作品である。その時のキャッチフレーズは「傑作青春会議コメディ~会議はまだ終わらない」である。高校の文化祭企画会議を舞台にしたシチュエーションコメディ。作者が自分の出身校の伝統のある文化祭から着想を得た作品であるが、その高校は、わが千葉県内の公立高校。前から一度観たいと思っていてなかなか機会がなかった芝居。その千葉県産の作品を沖縄の高校が上演して、鹿児島で出会う・・・なんて勝手に素敵だと思う。向陽高校版も疾走感があって、とってもよかったですよ。

 

翌週は、奈良県の近畿大会。本当は岐阜での中部日本大会を1日観てから向かう予定で会ったが、学校でいろいろあり、断念。中部日本大会は毎年24日から27日の4日間開催で、私が勝手に名付けた「合宿型ブロック大会」。岐阜特派員のT氏によると、今年もほとんど連日満員盛況とのこと。やるなあ、中部日本。昨年行って、その活気あふれる会場と芯のある伝統的運営に感銘を受けたものなあ。でも運営の方々はここに関わったらクリスマスなんて全く関係なくなるんだろうなあ。きっとT氏からは大会報告があるはず。

 

で、近畿大会に戻る。会場は「田原本青垣生涯学習センター弥生の里ホール」・・・と聞いて、どこにあるかわかりますか?これが鹿児島市の県民文化センターとか、宇都宮市の宇都宮市文化会館だったらだいたいどこに向かえばいいかわかりますよね。でも田原本の弥生ホールってどこよ?となるわけです。とても丁寧に説明をしてくれた近畿ブロック長のY氏(奈良県)によると、京都から近鉄に乗って約1時間の田原本下車とのこと。そしてそこから歩いて25分くらいかなあとのこと・・・遠い・・・。でも行きますよ、私は。朝1の上演でも新幹線に乗れば何のそのです。最近私の周りに、奈良好きの方々がいて、奈良に行ったらここにいけばいいよ、あそこに寄りなよ、とアドバイスしてくれましたが、全部パス。一泊二日の強行奈良観劇ツアーなのです。で、向かうは田原本駅下車25分の弥生ホール。田原本駅下車、ホントに歩いて25分(20分だったかな?)ありました、絶対ないだろう、道間違えただろうと思った瞬間、田んぼの向こうに。立派なホール。これって既視感ありますよ。例えば昨年の中部日本大会の会場、「パティオ池鯉鮒かきつばたホール(知立市文化会館)」 そして今年の滋賀全国大会会場「彦根文化プラザ」。何もないなあ、ホントにあるのかなあ、と思った瞬間ど~んですからね。この感じ、よく覚えていてください。

 

IMG_20141226_151519

立派なホール。

 

IMG_20141226_151635

周囲は田んぼの中にど~ん。

 

IMG_20141226_151907

会館内はシャレてますよ。

 

IMG_20141226_151948

来年50回なんですね。

 

さて、近畿大会、大満足の二日間でした。で、ここでも絞って書きます。この大会、ホールの照明設備の関係で、幕間の20分間の間にどん帳が開きます。つまり仕込みが全部見えるわけです。で、この大会には、私が敬愛する、前全国事務局長の吉田美彦氏が顧問をしている学校も参加しています。その学校の上演前。例によってどん帳が開きます。すると吉田氏がさっと舞台に入ってきて、スタッフによろしくお願いしますと伝えると、自らメジャーを持って、セットを置く部分を計る訳です。それが終わると、今度はセットを入れるよう生徒に指示して、自らなぐりを持って、セットに釘を打ちつけるのです。その姿のさっそうとしていて、凛々しいこと。年齢はかなり上のはずですが、演劇青年そのものです。演劇大好きの心がびんびん伝わってきます。よく見れば、服装もいかにもスタッフ風にキメてます。いつもきっちりスーツ姿の吉田氏しか知らない自分にとっては実に新鮮なのでした。吉田氏が、自ら仕込みを主導するのも、この学校に赴任一年目で、ほとんど大会経験のない生徒を連れてきたからです。しかも、近畿大会まで!いやあ、かっこよかった。演劇部顧問としての原点を見ました。仕込みが終わってどん帳が下りる時、吉田氏に拍手をしました・・・心の中 で。

 

IMG_20141226_163538

誰が吉田氏か、全く分からない写真。

 

さて、2014年のブロック大会で最後の上演であろう時間帯に、私が感銘を受けた2014年産高校演劇二本のうちのもう一つに出会いました。奈良県立ろう学校高等部 「思いは時を超えて-ナミヤ雑貨店の奇蹟-」東野圭吾/原作(角川書店)、綿井朋子/脚色。この舞台に出会えたことで、私にとっての近畿大会、そして2014年のブロック大会をしっかりと締めくくることができました。終演後、私は満足して近鉄に乗り、奈良の大仏に寄ることもなく、まっすぐ帰路についたのでした。

タイトルとURLをコピーしました