演劇部OBOGのがんばりを記事にすることがある。しかし今回は「がんばる演劇部顧問OB」とする。
このブログでもこれまでよく登場してもらった、千葉県の演劇おじさん、いや全国の演劇おじさんたちの筆頭格、TM氏(TMレボリューションではない)が、この春教員生活及び演劇部顧問生活を終えた。生物の先生なので、ひっそりとミドリガメの観察をしているのかと思ったが、プロの芝居に出ると言う。劇団鳥獣戯画の「山吹峠に鶯が啼く」である。恐る恐る観に行った。
公演場所の下北沢ザ・スズナリはよく行く劇場だが、入るといつもと少し雰囲気が違う。ほぼ満席の客席に芝居を観る前の緊張感があまりない。前の方には子どももいる。大丈夫か?でも口上の二人(一人は劇団主催者の知念正文氏)が出てくると、何の雰囲気かわかった。そう、大衆演劇。芝居が始まるとやっぱりその通りで、吉本新喜劇に歌と踊りが入った感じで、徹底的にお客さんを楽しませる。そして徹底的に自分たちも楽しむ。小さい劇場なのに大劇場なみのリアクションをするから、全てが濃い。どんな真面目な登場人物も敵役も必ずおちゃらける。実は、この手の劇って最近観てなかったので、慣れるのに少々時間がかかった。でも慣れると、実に楽しい。だって、みんなでずっこけたり、倒れるだけで笑いをとったり、昔のギャグセリフを使うのって、今は禁じ手の感があるけど、ここまで開き直っていると気持ちがよい。手品やジャグリングも随所に入って演芸ショーも要素も。幸せな気分。かつてスーパー・エキセントリック・シアターの芝居によく通っていたことを思い出した。この劇団今年で創立40周年だそうだ。ちょっとファンになりそう。
さて、肝心のTM氏。何と40歳くらいの役をやっている。でも時代劇なのでカツラをかぶっているから大丈夫。もともといたずらっ子のような顔をしているから、じゅうぶんそう見えましたよ。40年の演劇部顧問歴で30回関東大会に出たというとんでもない記録を残した自負、さらに「本当に・・・」シリーズの祐一郎ばりに、部員を厳しく徹底的に指導してきて、今度は自分が観られる立場になるというプレッシャーもあったのだろう、けっこうよく稽古を積んでいた。セリフもきちんとしゃべり、眼光も鋭い。大声も出る。さらには、TM氏が呼んだお客さんへのサービスであろうか、1対1の立ち回りのシーンもある。しかも長い。「がんばっているじゃないか、演劇部顧問OB!」と思う。(カーテンコールの頃は疲れ切っていて笑顔がなかった、との指摘あり)
終演後、一緒に行った演劇部顧問たちの反省会に現れたTM氏。「T先生ね、こういう劇だから、もう少し力を抜いて余裕をもってやるといいですよ。」とダメだしをしておきました。ああ、気持ちよかった。
この芝居、本日土曜日2回、明日日曜日2回、そして月曜日2回とやるそうです。TM氏、大丈夫か?チケット売り切れの回もあるとか。でもお時間のある方はどうぞ。
さて、このTM氏、11月には北海道ブロック大会に行くことになっている。自己紹介で「自分は役者です。」と名乗るかもしれませんが、まあ、そこのところは北海道のみなさん、よろしく。あたたかく見守ってあげてください。