B とうとうこの日が来てしまいましたね。
A はい、来てしまいました。
C やっぱり来るんだよね。
B そう来るんです。
A 誰にでも来ますよね。
C 誰にでも来るけど、今年は特別だよね。
A そう、特別。
B 2016年ブロック大会巡りお疲れ様でした。
ABC お疲れ様でした。
B 今日は12月31日です。大晦日です。2016年も残すところあと数時間。お二人はまだ東京にいるんですね。
A まだ、ってBさんが関東大会東京会場の振り返りをやるから残れっていうから残ったんじゃないですか。もうボク家に入れてもらえるかわかりません。
C でもさ、ここまでやったら昨日帰っても今日帰っても同じだよ。オレなんかこのまま東京で年越しちゃおうかと思ってるんだ。
B やめたほうがいいですよ、Cさん。何か自暴自棄って言うか、やぶれかぶれになってますよ。
A そうですよ、きっと娘さん待ってますよ、お父さんが帰ってくるのを。
C え?そうかな。
A そうですよ、一縷の望みにかけてください。
B さあ、Cさんが帰れるように、さっと関東大会東京会場を振り返りましょう。
12月29日(木)8時30分、東京芸術劇場前。すでに高校生たちのグループがいくつか。しかしこの東京会場、入場予約制。18年前の関東大会のように、入口前に長蛇の列、とはなっていません。
静かなる会館内、プレイハウス前。
静かなるロビー。柱には東京会場作成ポスターが。東京はプログラムやポスターなど制作に凝っている。
その極めつけが・・・
全13公演入場ネット予約制だ。9時。人が集まり始める。
列は延びて階段から1階まで。
さらにまだまだ続く。一気に緊張感が高まる。さあどうさばく、東京チーム。
東京生徒実行委員会、総決起集会。全ては君たちの手にかかっている。
9時30分。開場。いよいよ始まった。全公演入れ替え制大会。高校生を中心に若い人たちはスマホの画面のQRコードを、40代半ば以上(推定)の方々はプリントアウトしたQRコードを、係の生徒さんに示す。そうするとその生徒さんは、自分のスマホでどんどんQRコードを読み込んで、そしてその後座席指定カードをめでたく手に入れるという、自分には何が何だか全然わからないシステム。Aさん、Cさんからの報告を聞こう。
C いやあ、紙の印刷されているぐちゃぐちゃしたやつ(QRコード)を瞬時に読み取るんだよ。スマホってすごいな。もちろんオレだって持ってるよ、スマホ。でも今だ電話とメール以外の使い方わからないからさ、ガラケーとかわらないんだよ。それでさ、紙に書いてある上演校名を見せてチケット受け取ると思ったらさ、係りの生徒があのぐちょんぐちょんしたやつ(QRコード)にぱっとアレしたら、何かいつの間にかカード持たされていてさ、そこに座る席の番号が書いてあるんだよ。手品みたいだったよ。やっぱり21世紀だね。こんなこと考える人がいるんだね。天才だよね。
A 今流行りのチケットシステムだそうですよ。私はとても感心しました。
座席カードを受け取り、いよいよ入場。
ロビーでは、次の次の上演の座席カードを受け取るコーナーが。ここにも長蛇の列。東京会場の幕間は15分!緞帳降りる⇒拍手する⇒客電点く⇒アナウンスにうながされロビーに出る⇒外に出てまたスマホでぱっとやってもらって中へ入るor次の次のコーナーに並ぶ⇒今観た劇の感想を交換する⇒指定された席に座る、と言った、人によって動線は異なるが、かなり緊張感と運動量を伴う15分間を過ごしたのだ。
東京チーム、会館の係の皆さんの緊張感もハンパではない。何しろ正味10分で、客席の入れ替え、出入り口の誘導、スマホでぱっで発券、キャンセル待ち、当日券の対応、座席への案内を行わなくてはならない。特に上演1、上演2は東京代表(都立山崎、都立東)なので、お客様が押し寄せる感じ。「右に並んでくださ~い」「退場は左側からお願いしま~す」「ここに立ち止まらないでくださ~い」「当日券はこちらで~す」東京チーム先生たち、生徒たちの声が響き渡る。
その初日午前中のドタドタバタバタアタフタ状態を冷静に見ている男がいた。制作及びこのスマホでぱっシステムの企画者にして総帥、東京のH氏だ。スマホでぱっから発券、係の先生、生徒たちの動きはすべて彼の頭の中でシミュレーションされ、詳細な行程表がすでに示されている。言わば案内、誘導の先生方は彼のコンピューター頭脳によって管理されている。少しでも違う動きが出るとメガネの縁がキラリと光り、それを見た係は恐れをなして修正を試みる。(ああ、またフィクション入ってきてしまいました)
彼の頭の中ではこの一見混乱状態は想定済みであった。すぐに修正プログラムを頭の中にインプットし、人員の配置換え及び増員に乗り出したのだ。
この様子を見たある観客はこう言った。「中で芝居を観て出てくると、外でも芝居が始まっていた」
上演7本、そして幕間の芝居6本を観終えた(やりおえた)Aさん、Cさんに感想を聞こう。
A 最初は戸惑いましたが、だんだん幕間の動きが身についてきて、自分も幕間の集団劇の一員になったような気がしました。前後に並んだ人とも友達になって、普段奥手なボクが一皮むけたような気がします。
C いや疲れたよ。老体にはきついよ。でもね、座席が指定されるだろ。予約してるとけっこう前の方に割り当ててくれるんだよ。1回なんか一番最前列になったりね。ほら、他の大会じゃそんな席座らないじゃない、だいたい後ろの端の方で。だから今日は前の方で観られてとても感動したよ。やっぱり劇は役者の息使いが聞こえてくるところで観るのがいいんだな。
そして初日終演後は当然顧問研修会。この顧問研修会も2016年最後の顧問研修会である。Cさんの言葉。
C 待ってました!
審査員の一人、劇団鳥獣戯画の女優で自身も高校演劇出身、全国大会の経験もある竹内久美子氏はこう言った。
「先生たちにはこんな世界があったんですね。」
そうなんです。
その間、総帥H氏は、明日のプログラム修正のため、システムに対する意見を収集していた・・・
C あのさ、まただんだん話長くなってきてない?かんたんに振り返るって言ったよね。
B あ、すみません。
A 総帥H氏まで出てきましたね。
C オレ、帰りの新幹線間に合わなくなっちゃうよ。
B わかりました。今日は家に泊まってください。
AC え!
B 明日また続きはやりましょう。こうなったら、年マタギ同好会です。
A こうなったらって、自分でこうしたんですよね。
B 吉田類さんだって年マタギ酒場放浪記やってますから。
C 何だそれ。
B 企画突然変更はこのブログの得意技です。
A ああ、ぼくの家庭は・・・
B さあ、ぼくの家に行って、紅白歌合戦見ましょう。
C ま、そんな年越しもいいな。
【当然フィクションです】
ブロック大会巡り同好会反省会、急きょ年マタギで明日に続きます。
では皆さま、一年間お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
よいお年を!