わりとよくある演劇部の話⑦

リハーサルの日がやってきた。

 

C県のリハーサル時間は60分。地区大会のリハーサルの半分以下だ。まあ、地区大会が恵まれすぎているのだろう。この60分、あっと言う間に終わる。顧問はこれまで県大会のリハーサルでうまくいったという記憶がない。すべての場面ごとの明かりの確認さえもできずに終わることが多い。もうぶっつけ本番、照明生徒と音響生徒に全てを任せる、といった感じである。そしてほとんどパーフェクトにやってくれる。

 

リハーサルの仕切りもすべて部員たちに任せた。任せる、というと聞こえがよいが、実はあまり照明とか音響とか舞台の仕掛けのことわかっていない。舞台の人には「先生も長いこと顧問やっているんだから、もう少し生徒さんに教えてあげたらどうですか。」なんて言われてしまう。う~ん、でも部員たちの方が顧問をあてにせず、自分たちで学んできてくれるからなあ。

 

ただ、自分でわからない分、要求だけは多い。「ここ光がさっと差し込むのがいいよね。」「枯葉降らそうか。最初は2,3枚。それから10枚くらい、そよそよと。」「舞台上手から下手に疾走する人影作れない?」 突然のリクエストに、スタッフ生徒は「またか!」というイヤな顔一つせず、とりあえず「はい、わかりました。」と言ってくれる。そして部室に帰って唸っている。(たぶん)

 

今回も上演の前日、他校の観劇中、突然思いついてしまった。その前日のリハで、吊りものの布がイメージと合わず、却下となったのだが、それを吊らずに使いたくなった。

 

当日の全上演終了後、「布使おうよ。」 さすがに「はい、わかりました。」という即答はなかった。顔は「無理です。」という顔をしている。しかし部員はえらい。「ム・・・」という前にまず布を持ってきて、ロビーで段取りを打合せ始めた。そして突然キャスティングをし、布を使った演技(踊り)を稽古し始めた。なんか、いい時間だった、と思っているのは顧問だけであろうか。

 

リハ前日夜、入念な打ち合わせ。

 

いよいよリハーサル。60分一本勝負。舞台監督の生徒が気合いで仕切る。

 

すべて片付けたと思ったら・・・

 

布を引っ張り出してロビーで稽古。

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