北上ウイーク 北上便り①

本日よりいよいよ代表校リハーサルが本格的に始まります。昨日は地元盛岡市立高校のリハーサル、開閉会式のリハーサル、また入場シュミレーションについての真剣な検討がなされたとのことです。天気ですが、現地の先生によると、「快晴で岩手としては暖かな日となっていますが、いまだライトダウンは羽織ってます。会場は温かいです。」とのこと。これはあまり防寒対策しなくても大丈夫かな。 さて、「北上便り」を書いてくれと、またまた突発的な思いつきで岩手県の先生方に依頼してくれました。本当に向こうは忙しいと言うのに、何て迷惑なことでしょう。しかし「本気の」(何回使っただろう)岩手県顧問団はすぐに応えてくれるのです。まずは、春フェスに並々ならぬ情熱と愛情を注ぐこの方からのお便りです。

「上演校にとって最高の環境を!」                                   盛岡市立高等学校演劇部顧問 岡部 敦

春フェスに関わるようになって10年近く経つ。今年が第8回で10年というと変に思う人もいるかもしれないが、試行2回が行われているから、実質今回は10回目の開催となる。この10回のうち、私が開催期間に現地にいってかかわったのは8回になる。

試行2回目は出場校として参加。劇団四季のスタッフが「私たちはプロだから、みなさんがやりたいといったことで実現できないことはありません。」と言い切った姿を思いだす。「上演校にとって最高の舞台を準備する」この理念は、春フェスの底通理念として続いていると感じる。

全国高等学校演劇協議会の正式主催となった第1回から第3回までの劇団四季自由劇場での開催では、受付とかパンフレット綴じとか、はたまた装置運びの手伝いとか、運営の手伝いにまわっていた。その中で、全国事務局の方々や全国常任理事の方々と親しくなれたことを覚えている。

そして、初めての地域開催となった第4回倉敷大会。大会準備の初日から参加して、全国副事務局長の森本先生と照明の色枠づくりをしていたことは一部の人しかしらない良い思い出だ。地域開催となって、より私たちの全国大会という意識が一枚岩になったように感じる。大会HPの作成や上演校に寄せられる講評文の充実など、倉敷大会から始まった。

 第5回北海道だて大会では、私の勤務校は東北大会で優秀1席となり、出場校として参加するはずだった。しかし、2011年3月11日にそれは叶わぬ夢となった。あのとき、私たちは普段の練習会場で通しをしていた。装置を運ぶ運送会社が、17:00には来ることになっていて、最後の通しをして、荷造りをして、積込という段取りをしていた。で、通しの最中に、ケータイ電話がけたたましく鳴り響いた。そのときまで、そんな音を聞いたことの無い私は「通しの時は音を鳴らさないようにしろよ!」などと言った。そして、ケータイの持ち主が「私、音鳴らないようにしています!」なんてのんきなやり取りをした。その音は、緊急地震速報の警告音だった。そして、あの大きな揺れがきた。その後は停電で世間から断絶されてしまった。沿岸の様子を知ったのはたぶん一週間後ぐらいではないだろうか。震災直後、分からない中で「私たちは参加できませんが、春フェスは開催してください」といった内容のメールを私は送信した。そのことが本当に良かったかどうかは私にはまだわからない。あのとき、4校の辞退校があった。

 第6回宮城県広瀬大会は、2011年3月11日からの思いを「福高創立110周年記念作品 田頭諒という男」という作品にして東北代表として上演した。上演後、客席をいっぱいにした広瀬文化センターの大きな長い拍手を私は忘れない。その後の田頭が多くの仲間たちに囲まれている姿を私は一生の宝物とするだろう。

第7回福島県いわき大会は、東北事務局長最後の仕事として参加した。そして、今回、地元での開催となった。今回は幸せにも開催地代表として上演する機会を得た。学校としては初めて、私としては4回目の出場校としての参加となる。

 「私たちが上演できることは、本当に奇跡的なことなんだ。もしかしたら、明日上演ができなくなることがおこるかもしれない。だから、上演し終えたときに、今日出会えた人たち、今まで出会えた人たち、すべての人たちに感謝の気持ちをもてるような準備をしていきましょう。」と先日、生徒と話をした。

 昨年の長崎で、ある方から「田頭(でんどう)諒良かったよね~大好きなのよ」と声をかけられた。春の全国大会は、コンクールではない。コンクールではないが多く語り継がれる作品が生まれる大会なのかもしれない。今年は全国から集まったどんな作品が上演されるのだろう。「上演校にとって最高の環境を!」この理念のもと、しっかりと運営に関わりたいと心に誓うところだ。そして、何より上演校にとって一番の最高の環境は、満杯になった多くの観客の反応のある舞台だ!観劇後も、ツイッターやらFBやらブログやら講評文やら盛り上がってほしい!

最後に、第9回の開催が香川県高松で決定している。香川県とえば2011年夏の全国大会を福島とともに開催した県である。宮城、福島、岩手と3県の次の開催地として、やはりこれは絶対応援しにいかなければなるまい!などと、思いはすでに来年にも向いていたりする… 

全国事務局長からは「北上便り」という依頼でしたが、私の思い出話になってしまいました。すみませんでした。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

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