演劇部は文化祭に突入した。実質稽古期間、2週間と少し。そのうち舞台セット、衣裳、小道具作りに半分以上が費やされたが、いいのだ、もうやるしかないのだ。幕は上がったら、突き進むしか。と、かっこいいこと言っているのは、顧問だけで、部員たちは、転換とか照明、音響の合わせに余念がない。何か顧問は台本を書きあげると全てが終わったような気になって、顔を出すことも少なくなった。きっと自分の中で昇華してしまったのだろう。あるいは、実際の芝居を観て、ガックリくるのを避けているのかもしれない。現実から目をそらす、顧問のポリシーである。
大変なのは残された部員たちである。多くの要求が載った台本、適当に流すほど世間慣れしていない純な部員たちは、何とか具体化しようとする。そして、ある時突然稽古場に思いついたようにやってきて、こう演出と舞台監督に告げる。「やっぱりあのシーンなしね。」(部員の心の声)「はあ、そのシーンのセット3日かけて作ったんですけど・・・」(部員の実際の声)「わかりました。」
こうして文化祭の日がやってくる。一般公開の日の午前と午後の公演。2回とも超満員となった。がんばって作ったセットや小道具、衣裳が好評だった。音響や照明も。台本も意外にも好評だった。部員も顧問もうれしくなった。
文化祭のお客様を出迎える、学校公認キャラクター。1号、2号。
悪役もいる。後ろの岩と色が同化している。
超満員。まだ外にはお客様がたくさん。困った。
顧問の「もう一列、前列に増やそう」の声に、パネルの位置や立ち位置の変更会議。上演1分前。
そして何とか、部長のあいさつで公演は始まったのでした。
※写真は全てイメージです。